「泥々」

3連休のど真ん中、9月24日の現場は前日からの台風の影響を受けて、
最悪のコンディションだった。

金赤の「ゆ」の字を濃紺の羽織で背負って、東京都内の銭湯をPRする
屋外イベントブース。

雨をふんだんに含んだ芝生と土の地面はスニーカーとズボンをドロドロに
汚し、歩くたびにグチョグチョと音がする、中までビショビショの靴と
靴下は気持ち悪いことこの上ない。 

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当然、天気が悪いから、客もまばら。
それでも多少はいるイベント来場者の中で、
子どもたちはとても元気だった。

汚れることなど全く気にせず、
会場に置いてあるゴロゴロと転がるエアー遊具で
ゲラゲラと笑いながらドロドロになっている。

その汚れた服を洗濯する人やなんなら身体まで洗ってやる人のことは
関係ない。
全身ずぶ濡れで、ドロドロで帰るのは気持ち悪いだろうに、
そんなこともおそらく考えない。
今、この時が楽しくてたまらない。
ドロドロになってしまうことすら、とても楽しい。
大切なのは今なのだ。

素晴らしいことだと思う。素晴らしい心意気だと思う。

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でも、もう、こと「ドロドロ」に関して、そんなふうには思えない。
汚れた靴やズボンを洗うのは面倒だし、グチョグチョの足元は不愉快だ。

確かに楽しいかもしれないが、ドロドロのリスクが頭をよぎり、
今、その楽しさを選択しない。
後先にもちゃんと思いを巡らせ、なるべく自分が後悔しない選択をして、
大人になった。
これもまた、素晴らしいことだと思う。

ところが、大人になったらなったで、いろいろなリスクを考え、
人にかける迷惑を考え、
やりたいことをとりあえず横によけて、やらなきゃいけないことを、
ストレスを感じながらこなす。
たまにドロドロに疲れて泥のように眠るのだ。
不愉快や面倒は選択してないはずなのに。
なんともだ。


その日のイベントは、さらに悪いことに、
夜、撤収間際に出た雷注意報により、
来場者もブース出展者も避雷針の元に集まり、
約1時間の足止めを食らった。

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なんとも疲れた1日のPRを終え、帰宅。

帰って入った風呂は格別に気持ちが良かった。
雨と汗と泥にまみれた身体を綺麗に洗い流し、浸かったお湯は、
やわらかに身体を包み込みながら、
「なんともな疲れ」をゆったりと飛ばす。

もともと「お風呂大好き!」というタイプではないが、
風呂という日本の文化に感謝を覚えた。

時間が許せば、それこそ銭湯に寄って、
大きなお風呂でほっこりするのも
良かったかもしれない。


年末に向けて、「なんともな疲れ」が増えそうな大人の皆様。

「面倒くさい」とか、「行ったことないし」とか、
「着替え持ってきてないし」とか、
とりあえず、後先を考えた「行かない選択肢」は置いといて、
「気持ち良くなれそう!」と思ったならば、
その「今の気持ち」だけを大切に、是非一度、銭湯に足をお運びください。

そこに、新しい発見やトロトロの幸福感があるかもしれません。

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最終更新:2024/04/08 RSSについて

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