旧岩崎邸庭園

住  所
台東区池之端1-3-45
電  話
03-3823-8340
(旧岩崎邸庭園サービスセンター)
アクセス
東京メトロ千代田線「湯島駅」下車 徒歩3分
開館時間
9:00~17:00(入園は16:30まで)
休 館 日
12月29日~翌年1月1日
入 館 料
一般及び中学生 400円、65歳以上 200円(小学生以下及び都内在住・在学の中学生は無料)
木曜日を除く毎日の午前11時と午後2時、庭園ガイドツアーがあります
公式サイト
http://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index035.html

タイムスリップを体験したいという人がいたら、お奨めの場所があります。
文京区と台東区との境、不忍池にほど近い小高い丘を訪ねてください。車が行きかう春日通りの喧騒から離れ、玉砂利を踏んで欅(けやき)や木斛(もっこく)の茂るうっそうとした坂道を登りきると、そこに天に向かってすっと伸びる棕櫚(しゅろ)の木を前景にした明治の洋館が現れます。

1896(明治29)年に、三菱の創設者である岩崎家の本邸として建てられたこの建物は、鹿鳴館やニコライ堂なども設計したイギリス人、ジョサイア・コンドルの手によるもので、建物、庭園共に和洋併置の世界的にも稀なたたずまいのお屋敷です。
戦後GHQに接収され、その後、最高裁司法研修所として使用されていましたが、建築物としての重要性から重要文化財に指定され、大規模な復元修理後、2001年から東京都の管理する公園として誰でも訪れることができるようになりました。洋館、和館、撞球(ビリヤード)室の3棟が今に残されています。

洋館に入ると、磨きこまれた木の床と高い天井のしんと静まりかえった空間に、100年前の空気を感じます。柱や手すりには精緻な木彫りが施され、ガラスやベランダのタイル、金唐革紙の壁紙と、いたるところに贅がつくされ、室内はまるで工芸の協奏曲が奏でられているかのようです。

主にパーテーなど、ハレの場として使われた洋館に寄り添うように、生活空間だった書院造りの和館があります。杉や檜の銘材が豪奢に使われ、日本画の板絵、壁絵や菱紋をあしらった巧緻な組子…と、お屋敷であることは確かですが、華麗な洋館とは対照的な和館のしっとりしたたたずまいは、ホッと落ち着くものを感じます。
四隅に闇を抱き込んだ天井の低い和館のお茶席に座り、お抹茶をいただけば、心がしんと静まり返って悠々とした時の流れを実感できます。春夏には冷たい宇治金時、秋冬には暖かな小豆白玉のメニューも楽しめます。

現在も5,000坪を超える広大な旧岩崎邸庭園ですが、往時には約3倍、15,000坪の敷地に20棟以上の建物が建ち並び、夕方にはほの白いガス灯の灯に映えていたといいます。
あなたが岩崎邸を訪れたら、中東風のタイルの敷き詰められたベランダと、わずかにエンタシスのかかったギリシャ様式の柱の間から大芝生を渡ってくる風に吹かれてみてください。きっと懐かしい場所に戻ってきたような気がするはずです。大地震、戦災をくぐりぬけ、百年という歳月を越えてきたこの洋館の記憶に、あなたの心が触れるひとときです。

和館お茶席で供されるお抹茶。庭園の緋毛氈(ひもうせん)を敷いた縁台でいただくといっそう気持ちがなごみます (500円・季節の上生菓子付)