鳩山会館

住  所
文京区音羽1-7-1
電  話
03-5976-2800
アクセス
東京メトロ有楽町線「江戸川橋駅」下車 徒歩7分
東京メトロ有楽町線「護国寺駅」下車 徒歩8分
ホームページ
詳細はホームページよりご確認ください
https://www.hatoyamakaikan.com/

護国寺から音羽通りを江戸川橋方面に歩いて行くと、ビル群を抜けた左手に雁金の家紋を付した立派な門扉が現れます。この門を通って、樹々の茂ったアプローチを上りきると、バラの庭を備えたイギリス風の洋館が姿を現します。これが、政治家一家として有名な鳩山家のお屋敷、鳩山会館です。
鳩山会館は自由民主党初代総裁であり、内閣総理大臣を務めた鳩山一郎氏によって、関東大震災の翌年、大正13年に建てられました。一郎氏はここを舞台に戦後政治の画期となった自由党(現・自由民主党)の創設を計り、首相として決断した日ソ国交回復の下準備も行いました。

設計を手がけたのは、一郎氏の友人である岡田信一郎氏。大正・昭和初期を代表する建築家として知られ、その代表作としては、国の重要文化財に指定されている明治生命館や大阪市中央公会堂のほか、歌舞伎座などがあります。
一階には2つの応接室と食堂があり、南側に面したサンルームを通ってまるでひとつの空間のように設計され、引き戸の掃き出し窓が設けられているなど、日本人が住み慣れた和風様式を思わせる造りになっているのが特徴です。

二階へと上がる階段の脇には上野山清貢画伯による一郎氏の肖像画、踊り場には小川三知作の鳩をモチーフにした美しいステンドグラスを見ることができます。

上野山清貢画伯による
鳩山一郎氏の肖像画

一郎氏の没後は建物の傷みがひどくなったため、平成7年に大規模修復工事が施されました。二階には、その際の修復行程などを公開した展示フロアがあります。また修復に当たって、一郎氏とその夫人で教育者の薫氏、外務大臣をつとめた長男・威一郎氏を記念する部屋が設けられました。記念室は写真撮影が禁止されているため、こちらで写真を紹介することはできませんが、一郎氏の記念室には議員当選証書や首相任命証書、大礼服などが展示されているほか、夫人に宛てたラブレターなどプライベートにまつわる珍しい品も見ることができます。
また、二階の南側は過去に寝室であった部屋をつなげて大広間に改装されており、現在も集会機能を備えた場として活用されているほか、テレビドラマの撮影などにも使われているそうです。

バラの庭を前に建つ厳かなイギリス風洋館というのが、外から見た印象ですが、中を見学すると和洋折衷の柔軟な設計が施されていることに気付かされます。「友愛」の精神を唱えた鳩山家ならではの開放的な精神が設計に反映されているのかもしれません。その建物の妙を楽しみながら、戦後政治の原点に触れてみてはいかがでしょうか。