鈴木さん一家
おいしいご飯が食べたい−なら、千駄木にある「お茶とごはんや」がお勧めです。不忍通りから谷中銀座へ続く脇道をいくと、右手に緑色の看板が見えてきます。そこが「お茶とごはんや」です。お店を切り盛りするのは鈴木さん一家3人(父母娘)。
千駄木に2006年にお店を開店させる以前は、巣鴨で約19年間、今よりも広いお店を経営していたそうです。家族3人で切り盛りするには、もう少しお店は小さいほうがいいと、現在の場所に移られてきたとのこと。店内には、上海出身の著名な画家・戎 鳴岐 ( じゅう めいき)さんの作品が飾られています。そのうちの一点は、かつての巣鴨の店を描いた作品です。
入り口を入ったところ。右手には、手作りの果実酒のビンが
入り口付近には、20種類以上はあると思われる、手作りの果実酒のビンがずらりと並んでいます。「奥にあるのも合わせると、50種類くらいはあるんじゃないかな」(父・鈴木さん)なかには30年以上つけている「コブラ酒」もあるそうです。風邪を引いたときに、コブラ酒をお猪口一杯飲むと、体が温まるそうです。バラの花のお酒や果実酒以外にも、石垣島のパッションフルーツジュース、シークワーサーなど、ソフトドリンクの品揃えにもこだわりがあります。
ごはんやでは、食べ物をできるだけ捨てないように、様々な工夫がされています。築地で捨てられてしまう穴子の頭の骨を譲ってもらい、影干しにした後、油で揚げれば立派な一品に。お客さんにただで振舞うこともあるそうです。玉ねぎの外側の茶色い皮は、せんじて飲めば高血圧に効くそうですし、みかんの皮は、布巾を洗う水に少しだけ混ぜれば、香りが楽しめるとか。白菜漬けに少し入れることも。
驚いたことに、調理場には冷蔵庫はあっても、冷凍庫はありません。冷凍食品や化学調味料は一切使わず、「手間ひまかけることを惜しまないことですね。料理のプロセスを楽しんでいます」と、ご主人は言われます。新鮮な食材を、新鮮なうちに提供するこだわり。そこには冷凍庫のでる幕はありません。
L字型に広がる店内には、グループで楽しめるテーブルも
したがって、ランチもディナーのメニューも、日替わりがメインです。今ある新鮮な食材で、何ができるか、そのつど考えるからだそうです。また、どの料理を頼んでも、野菜をたくさん食べてもらえるよう、心がけているのも特徴。なかでも、鶏のつくねの梅みそソースランチ(980円)と、穴子の天丼ランチ(1280円)は人気があるんだとか。毎日通っても飽きないのは、メニューがその時々で変わるから。そんな楽しみも、ごはんやの魅力の一なのでしょう。
一見、ご主人が料理全般を担当しているように見えますが、実際には、しっかり役割分担がされているようです。ご主人は築地での魚の買い付けから料理までを担当。野菜の煮物はお母様が、ソースやデザートづくり、料理の盛り付け、メニューなどのディスプレイは娘さんが担当しているとのこと。「娘を筆頭に、みな、“妥協したくない”という気持ちが強いんです」とご主人。
親子3人の得意分野が調和したお店。それが「お茶とごはんや」の隠し味なのかもしれません。